カタブツ上司に愛された結果報告書
単刀直入に言われた言葉が、グサリと胸に突き刺さる。

格闘ゲームで言ったらHPが残りわずかな状態だ。


やっぱり他人が聞いても、今の私と田中さんの状況は付き合っているようには、見えないってことよね。

自分でも確信していたけれど……やはり他人に言われてしまうと落ち込んでしまう。


そもそも付き合いませんか? って言われた日から不思議に思っていた。

すぐに帰っちゃうし、連絡先も交換していないし。
それからも全然いつもと変わらず、挨拶くらいしか言葉を交わしていないもの。


私なんて、ちょっとでも田中さんの姿が見れたら目で追っちゃうし、仕事も正直半ば手に尽かず、気づけば田中さんのことばかり考えてしまっていた。


真由子さんの言う通りの状態に陥ってしまっている。


「その人のことは縁がなかったと思って忘れて、新しい恋愛するべきよってお友達に伝えておいて」

「はっ、はい……」


どうにか箸を持ち返事をするものの、笑顔が引きつってしまう。


大丈夫です、真由子さん。しっかり伝わりましたから。
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