カタブツ上司に愛された結果報告書
それから真由子さんに、仕事の話など振られるものの、曖昧な返事しかできなかった。

考えてしまうのは田中さんのことばかり。


あの日は私も真由子さんと一緒に呑んでいたし、もしかしたら酔って夢を見ていたのかもしれない。

思い出せば、全て自分にとって都合のいい展開ばかりじゃなかった?


偶然を装って自分から声を掛けようと思ったのに、先に田中さんに気づいてもらえて声を掛けられたし。


おまけに田中さんが運転する車で送り届けてくれて、告白したら付き合いませんかって言われたなんて……うん、まるで自分の妄想全開の夢物語じゃない?


本当に夢だったのかもしれない。


そう思えば思うほど気分は落ち込むばかり。
それでもどうにか真由子さんに悟られないよう、必死に笑顔を取り繕った。



「ねぇ、ちょっとコンビニ寄っていかない? 午後絶対眠くなるからガム買いたくて」

「あっ、じゃあ私も飴買っていきます」


飲食店を後にして真由子さんとやってきたのは、近くにあるコンビニ。
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