カタブツ上司に愛された結果報告書
静かな非常階段で、田中さんに腕を掴まれること数十秒。

お互い見つめ合っている状況で、彼は表情を変えることなく問いかけてきた。


「どうやったら私の気持ちを信じていただけますか?」

「――え」


次の瞬間、掴まれていた腕を引かれ身体はバランスを崩してしまう。

もちろんそんな私の身体をしっかり支えてくれたのは、田中さんで。顔を上げれば数十センチの距離に田中さんの顔があり、たじろいてしまう。


ちっ、近い近い!!


すぐに離れようとするも、背中に回っていた田中さんの腕がそれを許してくれない。


「たっ、田中……さん?」


震える声で彼を呼ぶと、次第に彼の顔が近づいてきた。


「今ここであなたにキスをしたら、信じてくれます?」

「な……にを言って――っ」


ギョッとするも、田中さんは表情を変えることなくゆっくりと私との距離を縮めてくる。

ちょっと待って、嘘でしょ? 冗談でしょ!?
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