カタブツ上司に愛された結果報告書
目の渇きも忘れて瞬きもせず、近づいてくる田中さんの顔をガン見してしまう。


キスをしたら信じてくれる? だなんて――。
田中さんに限ってそんなことするわけない、よね?


それでも瞬きもせずに見つめる彼は、次第に瞼を閉じ顔の角度を変えたものだから、耐え切れなくなり叫ぶように声を張り上げた。


「しっ、信じます!! 信じますのでもう勘弁してください!!」


すぐに顔は離れていき、あれほど身体を離してくれなかったというのにあっさり解放されてしまい、ポカンとしてしまう。


二、三歩と後退するたびに、革靴の音が響く。


そして距離を取り再び向き合うと、いつものように感情が読めない表情で口を開いた。


「信じてもらえたようで安心しました」


あっ、安心って……! 半ば強引にですけど!! ――でも、信じていいんですよね?

田中さんの気持ち、私と同じだって。
冗談で付き合ってくださいと言ったわけではないって。


トクン、トクンと胸が鳴る。


「あの……! 自惚れてしまってもいいんですよね? 田中さんも私と同じ気持ちでいてくれているって」
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