カタブツ上司に愛された結果報告書
私と付き合ったのは、もしかしてカモフラージュするためだったのかな?

灯里ちゃんを忘れるために、私と付き合ってくれたの?


そもそもおかしな話だよね。
面接日に話したっきりで、入社後は挨拶しか交わしたことがなかったのに、告白してOK貰えるなんて。


九歳も年下で田中さんから見たら子供だし、私は田中さんのことずっと見てきたから、彼がどんな人か知っているけれど、田中さんは知らないでしょ? 私のこと。


それなのに付き合いませんか? って今思えば不自然な話だ。


ただタイミングが良かったのかもしれない。


そういえば会社の人には内緒だって言っていたのに、灯里ちゃんには話していたんだもの。

それも証拠じゃない。……灯里ちゃんだから話したんでしょ? 田中さんにとって灯里ちゃんは特別な存在だから――。


「やだな、もうっ……」


マイナス思考に陥るばかり。


田中さんのこと信じたいのに、考えれば考えるほど悪い方向にばかり思考が向かってしまう。


勝手な妄想でここまで考えちゃうのもどうかと思うけど、でもどうしてもこれが正解な気がしてならないよ。


飲み物を買ってくると言ってオフィスを出たというのに、結局なにも買わずに戻っていった。

苦しい思いを抱えながら。
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