電話番が一番偉そうな探偵事務所
†プロローグ†

物言わぬ死体

夜の闇が解け空が白み始めた頃その川の冷たい流れをせき止める物があった。

「殺しか…」

その物体は、あたり一面を血に染めた。

「後頭部への一撃が致命傷になったらしいな」

物言わぬ死体…しかし、ばっくり割れて錆色の液体に血塗られたその後頭部は犯人の残虐性を微かな力で彼らに伝えようとしていた。

「国道からは死角になってるし民家も少ない…目撃者は期待できんな」

彼らは、この物言わぬ死体の人生の最後を説き明かす作業の目の前に立ちはだかる闇を感じ暗く沈んでいた。
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