短編集『明日になったら死ぬほど面白いコメディ思いつくかもしれない。』

もも(7)

おばあさんが、川で洗濯していると、川上から、小さな小さな、ゴマ粒のようなももが、流れてくるではありませんか。

しかも、ももは、拾わないでくれ、拾わないで、後生だから、と言うておるのです。

ちいさいのに、いっちょまえ

まるで誰かさんみたい。

おばあさんは、鼻息をひとつ付き、拾わないでおいてやりました。あんなゴマ、拾ったって、しょうがありません…

おばあさんは、ゴシゴシと、おじいさんのパンツを洗ってやっておりました。

ゴシゴシ

ゴシゴシ

5454

5454

五四五四

五指五指

越し越し

、、、



ばばぁ「は~、しんど」

おばあさんは、腰をポンポンと叩きました。

労ってくれる孫は、おりません。

よわいは、七〇を越えています。

世間では、七〇代なんてまだまだ若いだなんて、嘯かれてるようですが、(うそぶかれてるよう)、なんのなんの、どうして、どうして、意地になるしかないようです。

鍛え上げた、鋼のような骨で、ひぃひぃ生きていくだけであります。

実につらい。
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