桜色タイムカプセル
待って、なんでかいくんがそんなに驚いてるの?



私、お父さんの話なんて1回もしてないよね。



「そ、そうか、それは良かった。とりあえず、甘酒取りに行くか?向こうで配ってるらしいし」



片言で喋り、かいくんは先を急いだ。



甘酒を受け取り、石段に腰掛ける。



「あとちょっとで、新年だ」



去年の私だったら、お母さんとテレビの前で歌番組やらバラエティを観ていた。



けど、今年は違う。



私にも大切な人ができた。



隣に立って、手を引いてくれる、優しい人が。
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