桜色タイムカプセル
そのことが、辛い大学生活で頑張れる喜びになっているんだ。



まだかな、なんて、ひたすら時計を見ては、正面を見て。



かいくんを待った。



「かいくん、まだかなー……」



もう待ち合わせ時間もとっくに過ぎていて、それでもかいくんはやってこない。



かいくんなら待ち合わせ時間に遅れることもないし、遅れるとしても連絡を入れてくれる。



連絡もない、電話をしても出てこない。



「電話に出てよ、かいくん……」



11月下旬。



気温は10度まで下がる中、私はずっとかいくんを待っていた。
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