桜色タイムカプセル
私はその場から足を背けて、黒い服を身につけたままあの場所まで走り出した。



この街のシンボルの時計台。



その下は、誰もが待ち合わせ場所に利用している。



私はずっと、待つんだ。



かいくんが来るまで。



ドッキリって言って、私が怒って、かいくんがあの笑顔を向けてくれる。



「認めろよ」



「高橋くん……」



後ろから追いかけてきたのは、バイクで来たらしい高橋くん。



「あいつはもう、いねーんだよ。もうこの世に、いねーんだよっ……」



「いないって!いないって、わかってるよ……。でも、待ってないと、かいくんが戸惑っちゃうじゃん……」
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