桜色タイムカプセル
「あいつはなー、ずっと嬉しそうに話してたんだよ。“明日はさくらと久しぶりに会える”っつってよー……。アホらしいよな……、その日に死んじまうなんてよ」



あはは、かいくん何やってんの……。



「あいつはもう来ない。お前がずっとここで待っていようが、何をしていようが」



私は黙ることしか出来なかった。



高橋くんは、やっぱり人の心を読めてしまうんだって。



そう感じてしまわずにはいられなかった。



「最後くれー、あいつの顔を見てやれよ……」



その言葉で、私の中の何かが、はち切れた。



もう大人になるくせに、街のど真ん中で大泣きした。



声を上げて、愛おしい人の名を叫んで。
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