桜色タイムカプセル
それから家に戻り、空柄の便箋を丁寧に開けていく。



──20歳になった俺へ。



相変わらずの殴り書きで、さっき引き締まったばかりの涙腺が少し緩まる。






20歳になった俺へ。

元気ですか?てか、元気だよな。

自分の志望校に行けて、好きな勉強が出来て、好きな女と笑って過ごせているか?

俺の将来は、もう決まっている。

教育免許を取って、高校の教師になって、そんで、好きなやつに告白する。

男ならしゃきっとしろよ、って話だけどよ。

高校ん時の俺には、あんな勇気なかったんだよ。

さくらに、告白する勇気なんか。

俺は多分、さくら以外の女、好きにならないだろう。

だから、今の俺がまださくらのことが好きで、さくらのことを大事だと思うんなら、さっさとコクっちまえ。

これを渡してよ。

そんじゃあ、勉強に恋愛に忙しいだろうけど、頑張れよ!俺


18歳の俺より
< 174 / 181 >

この作品をシェア

pagetop