桜色タイムカプセル
「私は友達にでも借りるよ」



1つ、かいくんに嘘をつきました。



私、友達なんて1人もございません。



こんな小さな折りたたみ傘に2人なんて入るわけないし、何より今日は委員会で一緒に帰れないんだから。



だったら、クラスに必要なかいくんが濡れるより、空気の私が濡れた方がみんなのためだよ。



「そうか、んじゃあ借りっわ!また明日なー!」



教室を走って出るかいくんの背中に、私はずっと手を振り続けた。



「さて、委員会行こうか……」



図書館関係を主にする広報委員に所属している私は、今日も1人で静かに図書館で本の整理をする。
< 19 / 181 >

この作品をシェア

pagetop