桜色タイムカプセル
私は図書館を閉め、下駄箱へと急いだ。



「あ、あれ……?」



私は下駄箱に寄りかかっている黒い人影を見つけた。



そのシルエットは、いつも見ているような感じで。



「………遅い」



その人物はムッとした顔で、私が渡した傘を持っていた。



「か、かいくん、なんでここに……」



登校用のカバンを持ち、ベージュ色のブレザーを来ていて、ずっと学校で待っていたと伺える。



「どうせさくらのことだから、私が濡れても誰も困らないわ〜なんて考えて俺を先に帰したんだろ?」



私の声真似なんかして言ったかいくんは、少し怒っているようにもみえた。
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