桜色タイムカプセル
それが何日も続いた。



かいくんに呼び止められそうになれば、私はどこかに逃げて。



かいくんに出待ちされれば、人混みに紛れてかいくんから逃げたり。



かいくんと会わないように、登下校の時間を早めたりした。



「待て!さくら……!」



出待ち避けの方法が無くなってきた頃、私はかいくんに見つかってしまった。



「離して……!!」



精一杯かいくんの腕を離そうとしても、男と女の差でそう簡単には離れなかった。



「話がある」



「いや!私は話なんてない!」



どんなに嫌がっても、かいくんは離してくれなかった。
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