桜色タイムカプセル
やはり、お姉さんだったらしい。



玄関が開いていてもお構い無しに、かいくんとお姉さんは口喧嘩している。



「行くぞさくら」


お姉さんから逃げるように、かいくんは私の名を呼び、腕を引いて階段を登ろうとした。



「ちょっとー、その子、まだ私と話してないわよー。紹介くらいさせなさいって、妹になるかもしれないんだから」



今まで2人の間から聞こえる、妹、とか、結婚資金、とか置いといて。



強く掴んでいた腕を、かいくんは離してくれた。



「はじめまして、田宮くんにお世話になっています。同級生の篠原 さくらです」



「そんなに堅くなくていいのよ。むしろお世話になっているのは空海だから」



私の下げている頭に、かいくんのお姉さんは手で撫でてくれる。
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