桜色タイムカプセル
カチコチと、時計の音に、さらさら滑るペンの音。



勉強を始めて、何時間くらい経ったのだろうか。



座りっぱなしの腰と、お尻が悲鳴を上げている。



私はグイッと体を伸ばした。



ふと、かいくんの手が動いていないことに気付いた。



「何か分からないところあった?」



「いや、ない。ないけど……」



「けど?」


かいくんはペンを握りしめたまま、伏せていた顔を上げた。



その目はなんとも輝かしかった。



「俺、こんなに数学解けたの初めてだっ!!」



そ、それは左様でしたか……。
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