桜色タイムカプセル
田宮姉弟は、何もかも器用ですな。



「お邪魔しました」



外で待つかいくんの隣に立つ。



「すぐ近くなのに……」



「気にすんな。教えてくれたお礼だと思え」



かいくんは照れるようにして、手を頭に回した。



「バイバイ、また明日」



「おう。また明日」



玄関の前で、私たちは別れを交わした。



そのまま家に入ろうとかいくんに背を向けたのに、またかいくんは私を元に戻す。



「どうしたの……?」
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