桜色タイムカプセル
かいくんの表情が少し険しくなっていたのを、私の目は見逃さなかった。



「あ、あのさ……」



かいくんの赤くなった顔が、私の目から離れない。



「テスト終わったら、夏休みだろ?」



「そう、だね。残すところは」



かいくんの喉が、ゴクリと鳴った。



「夏祭り、一緒に行かないかっ!」



かいくんの手にあるのは、しわくちゃな夏祭りのポスター。



私はそのポスターを受け取り、かいくんに見せた。



「土曜日と日曜日、どっちに行く?」



かいくんは私が行くなんて思わなかったのかな?



すごい驚いた顔して、口をパクパクさせていた。



「かいくん?」



「ど、土曜日に!」
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