bitter days
その日の部活後もなんとなく気になるので図書室に行ってみると、
「お、いた。」
「げ、高橋・・・」
昨日と同じ位置に立花は居た。昨日俺にばれたってのに、場所を変えるとかっていう考慮はねえのな。
なんつうか、意外と抜けてるところあるよな、こいつ。
「いるかなと思ってきてみたら、やっぱりいた。」
「う、うるさい。
で、でも。ありがとう、言わないでくれて・・・」
昨日みたいに唇を尖らせてそっぽを向きながらお礼を言う立花。ほんと、なんでこんなにつんけんしてんだか。
「別に。
てか、少女漫画ってどこがいいの?」
そう問いかけながら立花の横に腰を下ろす。すると立花はいきなり鼻息を荒くして一冊の本を取り出した。
「どこもなにも、全部がいいの!これに出てくる空早くんていうのがね、すごくかっこいいの!主人公が暗い子なんだけどその子に対しても優しく接してくれて。でもたまにヤキモチ妬いちゃったりして。すごくときめくの!」
そういってガッツポーズまで飛び出してきた。そんな立花を何も言わずに見ていると、はっと我に返ったようで、
「いや、ごめん、つい・・・」
そう言ってしょぼくれる立花にはいつものつんけんしたところとかが全くなくて、純粋にいいなと思った。
「んで、おすすめのシーンは?」
「あ!それはね、ここの・・・」
さっきのしょぼくれたのはどこへ行ったのか。つうかまじでこいつ学習能力なさすぎ。でも、こんな風に目をキラキラさせてる立花がかわいくて。初めて女子と話してて楽しいなって思えた。