bitter days
「・・・し、高橋?」
はっと気がつくと立花が俺の顔を覗き込んでた。こんなに近くに来るなんて、無防備なやつ。
俺は軽く触れるだけのキスをして、
「付き合う前のこと、思い出してた。」
立花に微笑みかけた。こいつといると、愛しいってこういうことかなって子どもながらに考える。
突然のキスに驚いた立花は当然顔を真っ赤にしたけれど、それでも嬉しそうに笑った。
「もう、いつも急なんだから。」
それは告白した時のことも含めてなのだと感じた。だって、しょうがないじゃん。俺だって、健全な男子中学生だし。目の前に好きな子の顔があれば、キスしたくなる。
その日もくだらない話をしたり、立花が少女漫画を読むのに付き合ったりして、それぞれ家路に着いた。