bitter days
中学になってから、周りがさらにうるさくなってきた。
「修也、また呼び出しだぞ。」
小学校からの友人の竹下 仁(タケシタ ジン)が親指で教室の入り口を指す。
俺は内心、「またか」と思ったのを表情には出さずに廊下で待つ女子の元へ向かう。
待っていたのは名前もクラスも分からない女子で。小柄でくりっとした目を持つその子はかわいいのかもしれないけれど、俺にとってはどうでもいい。
「とりあえず、場所移動する?」
そう声をかけるとコクンと頷く女子。周りから冷やかされたりしたくもなかったので、教室から近い階段の踊り場に向かった。といっても踊り場なんて誰がくるかも分からないし、早く済ませて欲しいという俺の意思表示でもあったりするんだけど。
「あの、高橋くんのこと、好きなんです!付き合ってもらえませんか?」
「悪いけど、ごめん。」
てか名前も知らない人と付き合えるわけないだろ。つーか名乗れよ。
告白されてもめんどくさいばかりで、全然嬉しくもなんともない。
とりあえず、終わったことだし、俺は教室戻ります。