bitter days
さらっと答えた私に、郁がキラキラとした目を向けてきた。ちょ、そんな期待のこもった目で見られても・・・
「え、いろいろ聞いていいの?」
「どうぞ。」
「付き合ってどれくらい?タメ?」
「んー1年ちょいかなあ。年下の子。告白されたから付き合った。」
「あー、奈美、年下好きそうだよねえ。」
郁がしみじみと言う。うん、そうなんだよね。さすがは郁、あたしのことがよく分かっている。
私のことをよく知らない人は、私が大人っぽく見えるらしくて、年上と付き合いそうと言ってくるのだ。でも、それは違って。自分がサバサバしているから、大人ぶらないで自分にガンガンきてくれる年下の方が、私は付き合いやすいんだよね。
「まあでも、いい子いたらいいなあとは常に考えてるけど。」
「え、そんな感じでいいの?」
「いいのいいの。」
郁は私のサバサバした付き合い方に驚いているみたいだった。それもそうか、郁はまだ付き合ったことがないし、そんな簡単に付き合えないと思っているだろうから。
でもあたしは来るもの拒まず、去る者追わずタイプで。だって、告白してきてくれた人がどんな人か分からず振るのも失礼だし、好きじゃなくなったと言われれば、どうしようもないと思うから。中学2年の頃にはこのスタイルが定着してた。
ふと廊下を見てみると、
「あー今日もすごい人。」
私たちが恋バナをすることになったきっかけの人物がいた。