bitter days





週明け月曜日、いつも通りHRが始まる10分前に席に着くと、郁の姿が見当たらなかった。

あれ、いつも私よりも早く来ているはずなのに。




「おはよ、郁見てない?」


「いやー、まだ見てないよー。珍しいよねー。」



郁の隣の席の子に声をかけてみたが、やっぱりまだ来ていないらしい。
まあ郁は朝から家事もやっているし、たまにはこんなこともあるのかもね。



そう思って自席に着き、携帯をいじっていると、担任が教室に入ってきた。うわ、郁、完璧に遅刻じゃん。
一応メールだけしておこうかな。


机の下に携帯を隠しながら郁へメッセージを作成する。






「みんな、ちょっと聞いてくれ。」


いつも穏やかな担任らしからぬ声のボリュームに思わず顔を上げた。担任の顔を見るとすごく真剣な顔をしていて、なぜだか胸騒ぎがした。






「片山の母親が亡くなったそうで、片山は一週間忌引を取るそうだ。みんな、プリントとかのフォロー、頼むな。」






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