bitter days





「片山さん、ちょっといい?」






郁が忌引明けでクラスに戻ってきてから3日目の水曜日。郁といつも通り机をくっつけてお昼ご飯を食べている時だった。クラス内で割と人気のある澤野くんから郁が呼び出しを受けていた。


またか。



とはいえ、澤野くんも郁のことが好きだったとは。あの子は本当にモテる。
外見がいいのはともかく、内面も明るくて誰にでも分け隔てなく接してさっぱりとしているから、クラスの中でもマドンナ的な位置にいるからな。ま、本人はそんなのにちっとも気づいていないんだろうけど。


「奈美、ごめん。ちょっと行ってくる。」


「はいよー。」



手をひらひらと振りながら郁を見送った。これも、いつものこと。
これでもちゃっちゃと振ってきなさいよってエールを送っているつもりなんだけどね。わかりづらくて結構。







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