bitter days
教室の戸が開いたのでチラリと上目で確認すると、郁が戻ってきたところだった。
私は目だけでなく顔もあげて郁を迎え入れた。
「おかえり。今日もやってやった?」
そうニヤリとしながら郁に尋ねると、郁もニヤリと笑った。
ニヤリ、というか、ふにゃり、と。あれ、なんか反応が違う?
「えっと、OKした。」
「・・・」
「あれ?奈美?」
「・・・」
「おーい。」
「・・・ごめん、ちょっと、時間ください。」
ふうと息を一つ吐いて気持ちを落ち着かせた。
いや、全く落ち着かないんですけどね。