bitter days



「あの、待って!」


そう言ったかと思えば俺の背中に飛びついてきた名前も知らない子。飛びつくだけでなく、俺の学ランをギュッと握りしめている。逃がさないってか?おいおい、まじで勘弁してくれよ。


「あのさ、離してくんない?」


「もう少しお話したいんです!友達からでもダメですか?」


はあと聞こえるようにため息をつく。そんな下心みえみえなやつと友達やるより、サッカーしてた方が何百倍もまし。てか、俺のため息聞こえてないの?いつまでもくっついてられると困るんだけど。








「お熱いことで。」



ふいに聞こえた声にばっと後ろを向く。そこにはクラス委員の立花 円が立っていた。眼鏡の奥にある瞳からすごく冷たい光を発している。よりによって、こいつに見られるなんて。


急いで名前も知らないやつの手を振り払って立花を見たけれど、こいつは俺たちに構わず階段を上がっていく。
なんだよ、どうでもいいってか。

俺のいらつきは頂点に達して、名前も知らない女子を無視して立花を追いかける。




「おい、待てって。」




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