bitter days
2月の寒い部活終わりの帰り道。郁と2人で帰っている時に、「今日はいつもよりも寒いから公園の自販機で温かい飲み物を買おう」ということになり、少し回り道して公園に寄ったんだ。
公園に近づくなり、
「好きですっ!」
って女の子の切羽詰まった声が聞こえてきて、私と郁は声も出さずに顔を見合わせ、覗き見することにした。
こんな面白そうな場面を私たちが見ないわけがない。
公園の茂みに隠れながら様子を伺ってみると、そこにはモテ男高橋くんと、他クラスの女子がいた。
またもや郁と無言で顔を見合わせて、覗き見を続行することにした。
「ごめん、こういうのメーワク。」
女の子は泣いている顔を腕で隠しながら小走りでその場を去ってしまった。噂では聞いていたけど、本当にばっさり切るんだなあ。なんて思いながら覗いていると、
「てか、あんたら、何?」
ギロリと高橋くんがこちらに鋭い視線を向けてきた。
げ、ばれてたらしい。
私たちはそろりと立ち上がり、私は頭を、郁は頬をぽりぽりとかいた。
「ばれてないとでも思ったわけ?」
「「・・・まあ。」」
返事もお揃いってなんて気が合うんだろう私たち!・・・じゃなくて、うーん、やっぱりこういうことはするもんじゃないらしい。とりあえず正直に言っておくか。
「告白が聞こえてきて面白そうだなーと思って、つい。」
「ちょ、奈美!」
郁が肘でつんつんと突っついてくるが、私は弁解する気はない。別に高橋くんが好きとかってわけでもないから嫌われたところで何も影響ないしね。
私たちの返事を聞いて、高橋くんははあとため息をついてスタスタとその場を後にした。
さすがはレジェンド高橋、こんな時までばっさりとは徹底してるわ。