bitter days



「郁は何系にすることにしたの?」



3日ぶりにあった彼氏が今家に来て、あたしがこの間もらってきた企業のパンフレットを眺めながらそんなことを尋ねてきた。正直、この間の合同企業説明会もなんとなく見ているうちに終わってしまい、気になるところも見つからず、どうしようかと思っていたところだった。


でもあたしは自分の弱みを彼氏に上手くさらけ出すことが苦手で。




「今なんとなく見えてきたとこ。早く解放されたいなあー」


そう言ってばたりとベッドに倒れ込めば、深く追及されずに済んだ。本当はこういう時に頼りたくなるのが恋人だってことは分かってる。でも、なんか自分の中をさらけ出したくない。


今までずっとそうやって付き合ってきたから、自分の中でもなにか意地みたいなものもあって。
簡単に崩せそうにないなあと思うし、自分が可愛げないなと心底思う。




彼があたしをぎゅっと抱きしめてキスしてくる。この人のキスはすごく優しくて、気持ちいい。
私もぎゅっと抱きしめ返すと彼の手にさらに力がこもった。


「郁、好きだよ。」


「・・・うん。」





彼はこんなあたしのどこが好きなんだろう。彼の腕に抱かれながら、ぼんやりとそんなことを思った。




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