bitter days
立花の左肩をぐいと引き、無理矢理こちらを向かせる。こちらを向いた立花の瞳は相変わらず冷たくて。内心怒っていることが伝わった。
「立花、ごめん。嫌な思いさせた。」
「別に大丈夫。それよりも、あんまり話してるとばれちゃうよ。」
そう言って俺を置き去り、颯爽と廊下を歩いていく立花。相変わらずのいじっぱりめ。
でも、そんなところも好きなんだけど。
察しの通り、俺と立花は付き合っている。付き合って2か月というところだ。俺は立花と付き合っていることを隠したくはないんだけど、立花がどうしても嫌だって言うからこんなことになっている。彼女がいるって分かれば、俺なんかに告白してくる人も減るっていうのに。立花の考えていることがよく分からない。
そんなことを考えながら少し時間をあけて教室に向かうと、仁が俺の机に座って他の友達と話しているところだった。
「お、帰ってきたな。どうだった?
まあ聞くまでもないか。」
「お察しの通りだよ。今回のはまじでめんどかった。」
「めんどいってお前、あの子かわいいって有名な滝澤さんじゃん。
いつかお前恨み買いそう。」
そう言ってシシシと笑う仁。こっちの気も知らないで、楽しみやがって。仁のすねをガツっと蹴り上げ、仕返しをしてやった。