bitter days
あたしは、どうしたいんだろう。
自分のことなのによく分からなくて、考えたくなくて。ぎゅうと目をつぶった。
「まあ、いいよ。じゃあ、帰るわ。」
そう言って歩く音がしたのでそっと目を開けてみると、慎はあたしには目もくれず荷物を持って玄関に向かおうとしているところだった。
最後くらいはきちんとお見送りしたい。
そう思って急いで立ち上がり慎の後を追う。
靴を履き終えた慎はドアノブに手をかけたと思うと少しだけこちらに顔を向けた。
「さっきは本当に、ごめんな。傷つけたかったわけじゃないことだけは、分かって。
じゃあ、元気でな。」
そう言い残して慎は去ってしまった。ぱたりと閉じたドアが開いて慎が現れることはもう2度とない。
あたしは心にぽっかりと空いた穴に愕然とした。
いつからこの穴は空いているんだろう?彼氏じゃふさがらない?自分でどうにかするべき?
考えても考えてもよく分からなくて、あたしはその場にズルズルと座り込んだ。
あたしは、どうしたいんだろう。どうしたらこのループから抜け出せるんだろう。
自分なりにこんな自分を変えたくて必死だった21歳の春。
また1つ、自分のことが嫌いになった。