bitter days
「お疲れ。」
「お疲れ様。」
部活が終わった後、学校の図書室で立花と会うのが日課になっていた。俺はサッカー部で、立花はソフトテニス部。こんなつんけんしてるくせに、こいつ、実はかなりのミーハーで。女子っぽいスポーツにあこがれていてソフトテニスにしたんだとか。やっぱり、こんなところもすごくかわいい。
部活終わりの立花は長いストレートの黒髪を後ろで一つに束ねていた。すっきりとした小顔が露わになっていて、俺の部活後の楽しみだったりする。
「あれ、なんか眼鏡汚れてない?」
「ん?そうかも。高橋、あたしのカバン取ってくれる?」
「はいよ。うわっ」
ドサドサと音を立てて、立花のカバンの中身が床に散らばる。カバンのファスナーが開いていたらしく、それに気づかず片方の取手だけを掴むという横着をしたらこんなことになってしまった。
「ちょっともう、なにやってんのよ。」
立花が呆れてため息をつき、散らかした床に這いつくばる。申し訳ない気持ちでいっぱいで、やれやれといった感じに教科書などを集めている立花に続いて俺も床に散らばった物に手を伸ばす。
「きゃ」
手を伸ばした時に少しだけ、触れてしまった立花の手。立花は触れた手を勢いよく引っ込め、両手でガードするようにぎゅうと握っている。なにその反応、かわいすぎるんだけど。