bitter days
「おーお疲れー。」
「よ、橘。お前昨日早めに研究室から帰ったけど、今日の発表用のデータ集まったの?」
「もちろん集まってるよ。じゃなきゃ、大変なことになるでしょ。」
鞄を自分用に割り当てられたデスクスペースにボスンと置くと、まだデータ集めに四苦八苦してそうな友人の元へ近寄った。友人のデスクに手を置いて画面を覗き込んでみると、あと少しで終わりそうなところだった。
しょうがない。
「発表終わったら、晩飯おごりな?」
そう言って友人から資料をもらい、自分のパソコンの電源を入れた。起動する間に資料に目を軽く通すけど、この間の発表からあまり進んでいないらしく、読まずに進められそうだった。
発表まで30分に迫ったところで、なんとか仕上げることが出来た。とりあえず、役に立てたかな。
俺たちはネットワークを専門に研究している研究室で、今日は修論のための発表会。
論文のテーマは自分たちで決めるが、どんな進捗で進んでいるか、などを月1で発表しなくてはならなくて、時間もかかるし面倒だ。
その時に他の生徒が発表するのを聞いているもんだから、さっき手伝った友人の内容も知っていたという訳だ。
きっとそれなりに出来ているはずだから、俺には教授のお咎めはなしかな?