bitter days
尾山さんはお酒に強いこともあってグラスを空けるペースも早くて、なんとなく強い自分としては女子に負けたくなくて同じペースでグラスを傾けた。
同時に空いたグラスをカツンとテーブルに置いたからむっとして尾山さんを見ると、彼女もこっちを見ていて、それがなんだか面白くて、2人でぷっと吹き出した。
「なんかもう、典型的な潰しあいになってるよね。」
「ほんとですよ。もー今日はこんなに飲むつもりじゃなかったのに!」
そう言いながらも楽しそうにケラケラ笑う尾山さんはとても可愛くて。周りがみんな尾山さんと俺を驚いたように見ているのが分かった。
でもそれくらい、クールそうに見える彼女の笑顔は破壊力がある。
「やっぱり、思った通りだった。」
「え?なにがですか?」
尾山さんが少しだけ上気した顔でキョトンとする。そんな顔も男にしたら可愛すぎる。
「絶対、クールキャラじゃないと思って。それに、年上とか同い年の男にモテないでしょ。」
この子に遠慮とか関係ない。嫌なら嫌って言う性格のはずだから。
またにこりと微笑みながら尋ねると、尾山さんがすごく驚いた顔をした。
「え、なんで・・・?
・・・でも、そうなんです。なんか近寄りがたいらしくて。私のサバサバした性格のせいでもあるんですけど。」