bitter days
俺は立花の触れてしまった手にもう一度触れた。ぎゅうと握っている両手ごと。
立花はそんな俺に驚いたみたいで、真っ赤な顔して俺を見つめてくる。
俺が触れたことでますます緊張したのか、両手はさっきよりも固く握られていたけど、俺が軽くクイと手を引くと、案外あっさりと外れた。よし、これで手を繋げる。
2人で手を繋ぎながら図書室の壁に背中をつけてもたれる。手を繋ぐことで、立花が緊張しているのがすごく伝わってきて、俺のことが好きなのかなって思える。俺も実は結構緊張してるから、好きなことが立花に伝わればいいな、なんて思ったり。
「・・・高橋、あたしの荷物。」
「そんなの、後で。」
荷物は粗方立花がまとめてくれていたし、それよりも今は手を繋ぎたいから、ダメ。
「なんかここいると、初めて話した時のこと、思い出すな。」
「うん、そうだね。」
そう言って微笑む立花の瞳は、とても優しい色をしていて。かわいすぎて自分の中でいろんな気持ちが暴れた。
そういえば、初めて会った時こんな感じだったかも。
俺って、進歩ないな。