bitter days
そう言って覗き込むと顔を真っ赤にしてあたふたする立花。こいつのこんな顔、初めて見たな。
立花はクラス委員をしているだけあって成績優秀ですごく真面目なやつだ。冷静沈着で、いつも1人で行動しているような物静かなところしか見たことがなかったから、この反応はすごく新鮮だった。
この立花の反応がなんだかすごく気になってしまって、俺は立花を問い詰めることにした。
「なんで隠すんだよ。いいじゃん、別に。」
「わ、私は良くないの!」
んー、そう簡単には教えてくんねえか。なら、
「分かったよ。てか俺課題用の本借りに来たんだけど、それ系ってどの本棚?」
「全くもう。それならこっちの、」
「げーっと。なんだ?あなたに届け?」
「わあ!ちょっとやめてよ!」
課題用の本が置いてあるという場所に立とうとした立花の後ろにさっと手を回し、隠していた物を見てみると、少女漫画のようだった。俺の作戦勝ち。残念だったな、立花。
それにしても立花が少女漫画を読むなんて、
「意外、とか思ってるんでしょ。」
そう言って俺のことを悔しそうに見上げてくる立花。俺はこのときすでに160後半まで身長が伸びていたから、150も満たないくらいの立花と話すとなると必然的に立花が俺を見上げることになる。今まで対面できちんと話したことがなかったから、立花がこんなに小柄だと思わなかった。
てか今はそんなことより、
「まあ、正直。」
あの立花が少女漫画を読んでるとは想像してなかった。文庫本とか、小説とか、そういう系ならイメージ通りなんだけど。