bitter days



俺は思っていることを正直に言った。ここで誤魔化したりしても、立花は感づいてるっぽいし、無意味だからな。


立花は観念したのか、はあとため息をついて俺から顔をそらしながら口を開いた。


「私、実は少女漫画が大好きで。でもお母さんが私が読むことあまり良く思ってないから学校でこっそり読んで家のクローゼットに隠してるの。家だと読んでるのばれる可能性が高いから。

それをまさか高橋に見られるなんて・・・今まで誰にも見つからなかったのに・・・」


不本意そうに唇を尖らせてぶつぶつ言っている立花。ふーん、こいつこんなやつだったんだ。


「そうだったのか。いいじゃん、別に。学校で隠さなくて。」


「そんな、人気者の高橋には分からないよ!私のイメージなんてどうせ暗いとか真面目とかっていうイメージしかないんだから、あたしが少女漫画大好きなミーハーなんてばれたらからかわれるだけだよ。」


「あ、ミーハーなの?」


「う。そ、そうよ、悪い!?」


そう言って真っ赤な顔して俺を睨み付けてくる立花。俺は立花の必死の形相が面白くて、思わずぷっと吹き出してしまった。こいつ、こんな時までつんけんしてんのかよ。というか、一気にボロ出すぎだし。



「悪い悪い、別に誰かに言ったりしないから心配すんなよ。」


笑いで緩んだ口元を手の甲で隠しながら、立花に心配するなと伝える。でも立花は納得してないみたいで、さらに睨みをきかせて俺を見てきた。



「そんなわけないじゃない。高橋は男子とも女子とも仲いいんだし。」


「いや、女子とは仲良くないけど。でも、言わねえよ。
邪魔してごめんな。」





そう言って立花に漫画を返し、借りたかった本を借りて図書室を後にした。
次の日教室に入ると立花が俺のことをすっごく睨んでいて。

みんないるってのに思わず吹き出しそうになった。










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