私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~



 彰人はちゃんとタクシーで、家まで送ってくれた。

「じゃあな、こちび」
とあっさり、そこで別れる。

 なんかこれはこれで寂しいんですけど。

 彰人さんの頭の中は、週末会う、花音さんのことでいっぱいなのでしょうか。

 やっぱり、呪います……、と思いながら、とぼとぼと家に入ると、よくわからないテンションの姉が待っていた。

「あら、なに、帰ってきたじゃない」
とこちらに向かい言う。

「菅野が、あんたは、あのイケメン王子と出て行ったから、帰ってこないかもって言ってたのに」

 何気にトドメ刺してくるよな、この人、と思いながら、
「帰ってくるわよ。
 家に帰らなくて、何処に帰るのよ」
といじけたように言ってみたが、姉は話を振るだけ振って、聞いていない。

 自分のことで手一杯のようだ。

「もう〜っ。
 全然要領得ない電話だったわ。

 なんなのかしらね、菅野はっ」
と怒ってはいるが、何処か嬉しそうだった。

 班長、また、告白しなかったのか、と思いながら、二階へと上がる。

 千鶴はまだなにかしゃべっていたが、特に聞いてはいなかった。




< 109 / 176 >

この作品をシェア

pagetop