私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「好きだと気づいたからって、いきなり、相手の許可もなくキスしてくるなんて。
 強姦魔と変わらないじゃないか」

 いや、お前が言うな、と二人とも思っていた。

 だが、確かに、あれだけ信頼していた人間、身内のように思っていた人間にあんなことをされると、実の兄に襲われたくらいの衝撃はある。

 物言いたげな井川の視線に、
「俺はいいんだ」
と言った彰人はこちらを向き、
「こちびは前から、俺を見てたから」
と言ってくる。

「は?」

「お前、前から俺をよく見てただろ」

「なんか勝手な王様みたいな人だなーと思って見てたんですよっ」

 そう反論したのだが、
「まあ、照れるな」
と肩を叩かれる。

 いや、照れてません。

「彰人。
 お前、本気で小春ちゃんを好きなのか?」

 井川さんっ。
 そこんとこを私も訊きたかった! と小春は思わず、井川の方に寄り、彼の言葉に同意するように、うんうん、と頷いてみせる。

 彰人はしばらく止まっていた。

「……それはともかく」

 ともかくじゃなーいっ。
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