私、あなたを呪ってマス！ ～こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常～

「ねえ、怖くない？」
と保奈美は訊いてくる。

「え？」

「貴女ごときが、芹沢くんにあんな態度とって、捨てられるとか思わないの？」

　貴女ごときってな、と思いながら、
「捨てられるもなにも、最初から彰人さんは、私にそんなに興味関心ないですからっ。

　……いたーっ！」

　いきなり走った激痛に、足を押さえる。

　保奈美がご丁寧にヒールの踵で、ぐりぐりやってくれたようだ。

「あら、失礼。
　よろけちゃって」

　ちょうど開いた扉から降りながら、保奈美はこちらを振り向いて言う。

「贅沢言ってんじゃないわよ、こちび」

　いてて、と思いながら、保奈美のその表情に、今のは嫌味兼忠告だな、と思った。

　どうやら私をあまり好きでないらしい先輩にまで、ご忠告いただくとは、余程今の私は態度が悪いらしい、と思った。

　でも、謝りたくない〜っ！　とエレベーターの中で、地団駄を踏みそうになったが、それも余計な心配だった。

　昼休み、社食に居たら、
「此処、空いてるか」
とトレーを手に、彰人が前の席にやってくる。

　しかも、自分と付き合いたいとか言っていた井川を連れて。