私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「それで、井川さんがキスしながら、のしかかるように馬乗りになってきて」

 最早、感情を捨て、淡々と語り始めると、彰人の方が嫌な顔をし始めた。

「そしたら、そこで貴方が電話をかけてきたんです」

 なんだって? という顔を彰人はした。

「花音さんに、このヘタレがっ、て言われてました」

「そんな口調で言われてな……

 本当にあのとき、井川と居たのか?

 恐ろしい女だな」

 全然わからなかった、と言ってくる。

「ほんとですよ。
 恐ろしい女ですよ、私は。

 今までそんなこと自分でも知らなかったし、一生知りたくなかったです。

 ただ、ただ、貴方に嫌われたくなくて、貴方に知られたくなくて。

 あんな小芝居までできちゃうほど、貴方を好きだなんて知りたくなかったですっ。

 貴方なんて、私が井川さんにキスされても、飼い猫にちょっかいかけられたくらいにしか思ってないのにっ」

 なんで、あのとき、助けに来てくれなかったんですかっ、と八つ当たりのように言ってしまう。
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