私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「助けてとも言わなかったじゃないか」

「他県に居るのに、なんで、助けてって言って助けられるんですかっ。
 それくらいなら知られたくなかったんですっ」

 小春はもう彰人の顔を見るのも嫌で、顔を覆って泣き出してしまった。

「……小春」
と彰人の手がその手を剥がそうとする。

「……こちびです」
と手の向こうからくぐもった声で言う。

「小春」

「もう呼ばないでください。
 上に乗らないでください」

「検証するって言ったろ」

「もうやめてください。
 私なんて、その辺に、ぽいっと捨ててください。

 ……あ、鼻水出そう」

 鼻をすすりながら、思わず、そう言うと、彰人が吹き出した。

「なんなんですかっ。
 真剣なんですよっ、私はっ」

「いや……そこで、言わないだろ、普通、そんなこと」

「だってっ」
と言ったとき、手を外していたので、そのまま、自分の上に居た彰人が口づけてくる。

 あのゲームのときとは全然違うキスだった。

 逃げずにそれを受け止めてしまう。
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