私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 だが、一瞬あとに、そこが路上であると思い出して、彰人の肩を押し返そうとしたが、その手首をつかまれる。

 前髪が触れるほど間近に自分を見つめ、彰人が言った。

「……前言撤回だ」

「え?」

「井川はよく此処で止めたな」

 俺は無理だ、と彰人は言う。

 もう一度キスしてきた彼は言う。

「何処がいい?
 俺の部屋か? さっき通ったホテルか?」

「どっ、どっちも嫌ですっ」
と言うと、眉をひそめ、

「まさか。
 車の中か……?」

 本当に恐ろしい女だ、と言ってくる。

「そ、そうじゃなくてっ。
 私はなんにもしませんよっ」

「……往生際の悪い女だな。
 井川以上のことをしたら、井川がしたことを忘れられるだろ?」
といつの間にか両の手首を押さえ込んで言ってくる。

「まあ、此処、あんまり車も通らないし、今、暗いし、いいか」
と言い出した。

 な、なにもよくないですよっ。
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