私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
やっぱり、呪いマスッ!
昼休み、職場のロビーのソファで彰人は機嫌よく、イヤホンをつけ、なにかの曲を聴いていた。
目を閉じている彼の背後に小春は忍び寄る。
殺られるっ、と気配を感じたように、彰人が、びくっ、と振り返った。
「なにひとりが楽しそうにしてんですか~っ」
と言いながら、側に腰掛ける。
「いや、昌磨が店で弾いた曲を録音させてもらったんだ」
「昌磨さん、昌磨さん、昌磨さんっ!
貴方の頭の中は、昌磨さんでいっぱいですね……っ」
この間もひとりで実家に帰りやがって、と小春は恨みがましく、彰人を見上げる。
「釣った魚には餌はやらないってやつですね」
「お前、猫だろ」
と素っ気なくいいながら、彰人はイヤホンを外す。
そのまま、小春の耳に押し込んできた。
わ、素敵な音、と思ったが、口に出すのも悔しく、黙り込む。
だが、表情を見ただけでわかったらしく、彰人は、
「今度は一緒に聴きに行くか?」
と言ってきた。
「うちの親にも紹介したいし」