私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
『えっ、誰っ?
 八っ』
と自分ではなかった女子たちが、鬼の形相で八の女、或いは男を探し出そうとする。

 やばい。
 小春はその紙をそうっとテーブルの下に捨てようとした。

 だが、その手を誰かにつかまれる。

 彰人だった。

 彼は、
『なんだ、お前か』
とその、誰が書いたのか、筆ペンで書かれた、トメ、ハネ、ハライのはっきりした、めでたそうな立派な八の字を見ながら、

『お前ならいいや。
 猫だから』
と言う。

 人間ですよっ!?

 しかも、貴方にはそう見えてないかもしれませんが、年頃の若い娘ですよっ? と思った。

 だが、そう訴える暇もなかった。

 座ったままの小春の顎に手をやった彰人は、身を屈め、あっさりキスしてきた。

 いやーっ。
 こちびめーっ!
とつけられたばかりの変なあだ名でいきなり、周囲から罵られる。
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