私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 彰人は楽しそうに小春の頬を人差し指で撫で、
「こちびは白くてふかふかだったが、お前は白くてすべすべだな」
と言い、そっと口づけてくる。

「猫じゃないですっ。
 猫じゃないんでっ」

 必死に言いつのり、ノーッ! と怪しい外国人のように叫びながら押し返す小春を彰人は、ただただ愉快そうに眺めている。

 も……

 もう勘弁してください。

 朝から死にそうです。

 それにしても、芹沢こちびで良かった、と思っていた。

 芹沢小春とか言われていたら、心臓が止まるところだった。

 だが、そんなことを考えている間にも、更にショック死しそうなことを言ってくる。

「ところで、お前、俺と付き合うか?」

 もう一度上に乗った彰人が、押し返せないよう両の手首を抑え、訊いてくる。

 怖いよ。
 拒絶の言葉は許さない王様の命令だ、と思いながら、小春は言っていた。

 拒否権がないのなら、せめて――。

「じゃあ、お試しで……」

「なに様だ、お前」
とまた小突かれる。
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