私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「だいたい、此処までしてお試しとか意味がわからないんだが」

「此処までしてって、キスしかしてないですよね?」

 いや、しかってことはないんですが、と思いながらも動転する。

 そんな小春を見ていた彰人が笑い出した。

「本当にお前は面白いな。
 顔が――」

 殴りたい。
 殴り殺したい。

 面白いとか言いながら、またキスしてくるこの人がわからない。

 なんかこう……新しい玩具みたいな感じなのだろうか。

 私のことをこちびこちびと言うけれど、貴方の方が猫みたいですよ、と思っていた。

 芹沢さんは、ふかふかのふさふさの触るのが恐れ多いような猫で。

 きっと私はおもちゃのネズミ。

 散々猫にいたぶられてボロボロになって捨てられるんだ、と妄想を膨らませ、ブルーになる。

「こちび。
 俺は出張に行ってくるが、その間、他の人間に飼われたりするなよ」

「大丈夫です。
 人間ですから」

 ……たぶん。

 最近、こちびこちびと言われ続けているので自信がなくなってきたが。
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