私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
好きになってあげマス!
朝、会社のロビーに入ると、みんなが振り返り、挨拶してくれる。
私にじゃなくて、この横の王様にだがな……、と小春は思う。
「おはようございます、芹沢さん」
「おはよう、芹沢くん」
この男は毎朝、こんなきらびやかな光景を見ながら出勤しているのか。
美しいお姉さま方が、みな一斉に振り返り、彼に挨拶をする。
同性から見ても、眩しい光景だ。
「あら、芹沢くん、こちびと来たの?」
と確か彰人と同期の美女が余裕の笑顔で話しかけてきた。
「ああ。
来る途中、道端のダンボールに入ってたから」
拾ってきた。
そう彰人が言い、お姉様方が笑う。
いやいや、貴方に拾われるくらいなら、捨てられていたいんですが。
迂闊に拾われると、あんなことや、こんなことされるからな。
この王様から貞操を守り切った私は偉い、とか考えていると、菅野がやってきた。
「彰人」
「おお、菅野か、おはよう。
そういえば、支社から戻ったんだったな」
……いつの話だよ。
本当にマイペースだな、と思っているうちに、菅野と彰人が話し出した。
今だっ、と、すすす、と逃げようとしたが、彰人に襟首をつかまれる。