私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
「待て」
「だから、遅刻しますってー」

「まだ二十分前だぞ」

「人は二十分前には行ってるもんなんですっ。
 特に我々はお茶淹れないとっ」

「ペットボトルでも買っていけ」

 この王様はほんとにもう~っ。

 彰人に首根っこ抑えられて、じたばたしている自分を何故か、菅野は、じいっと見ている。

 貴方は貴方でなんなんですか、班長っ、と思っていると、
「芹沢くん」
とちょうど通りかかった専務が彰人を呼んだ。

「おはようございます」
と彰人の側に居た菅野が深々と頭を下げる。

 彰人も、
「ああ、専務。
 おはようございます」
と言ってはいるが、あまり、へりくだっているように見えないのは何故だ。

 専務の前でも萎縮しないこの人が怖い。

 だが、専務はそんな彰人の態度を特に無礼だとも感じていないようで、そのまま仕事の話を始めてしまった。

 今だっ、と今度こそ逃げた小春はエレベーターに飛び乗った。
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