私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 菅野の家は今も同じ市内にあるが、中学生のときに引っ越したので、今はご近所さんではない。

 だから、うちの会社に入っていることも知らなかった。

 引っ越した以外の理由でも、家同士の付き合いがなくなっていたことだし。

「菅野と幼なじみだったのか。
 聞いてないぞ」

「言ってませんから」

 ふーん、という顔で彰人は珈琲を飲みながら言う。

「こちびの癖に、周りがイケメンばかりでいいことだな」

「あの……イケメンばかりって、具体的には誰のことですか?」

 彰人は少し考え、
「俺とか、菅野とか?」
と言う。

「二人じゃないですか。
 っていうか、自分を入れるのもどうかと思いますし、自分を先に言うのもどうなんでしょうね」
と言ってやると、

「いいじゃないか。
 俺はお前の彼氏なんだから」
と言ってくる。

 何処まで本気なんだ、この男……。

 絶対、からかっているだけだと思うんだが。
< 64 / 176 >

この作品をシェア

pagetop